2013年8月6日火曜日

何を書こうとしても営業ブログになる。

弁護士の仕事は書面作成である。弁護士の渡部源です。

ドラマのように法廷で尋問するのは刑事事件ぐらいで,民事事件ではそうそう尋問まで手続が進むことはありません。

しかもこの8月は,「夏期休廷期間」と言いまして,裁判官が交代で夏休みをとる時期なのです。

裁判官がお休みということは,当然裁判期日も開くことが出来ず,期日が入りにくい時期なのです。

というわけで,私はこの時期は地道な書類作成に勤しんでおりまして,最近法廷のピリピリした空気を感じていないなぁと思いながら,延々と「いつ終わるんだこれ」という書類作成に勤しんでおります。

最近の気分転換はトイレ掃除です。



まぁトイレ掃除の話をしても仕方ないので,なんの話をしましょうか。


この間,高校生模擬裁判選手権というものを見てきました。

私が見に行ったのは関東大会で,関東圏の高校8校が,犯人性が問題となる刑事事件を,本番の裁判員裁判さながら検事役と弁護士役に分かれて対戦するというそういうやつです。

実はこれ,先着300名までなら誰でも見ることができるものなんですけど,なんの予備知識がなく見ても,かなり面白いです。

実際の法廷で行われるんですが,東京地裁の一番大きな法廷の傍聴席が満席になるほど人が入ります。

その前で,高校生達が独自の視点で有罪無罪を争う白熱のバトル。みんなすごい真剣です。

試合後の講評で,審査員から「本職より本職っぽかったです。」という我々に対する悪口高校生に対する賞賛の言葉も飛び出る程,各チーム個性豊かな立証活動を行っていました。

みんな出場者の褒め言葉を言っていたのですが,未来ある若者達のために,敢えて今後の課題を述べておきたいと思います。



※注意
本ブログの趣旨は,私の息抜きにあります。
よって,本ブログに書いてあることは私が無責任に好き勝手言っているだけです。
真に受けてそのまま服用しますと,
・目眩い,吐き気,湿疹等の症状
・弁護士という仕事に対する憧れを失う
・敗訴の危険性
などが考えられますので,ご注意下さい。


① 人の記憶はめちゃくちゃ劣化する。

例えば,ある高校が「その日,出かける前に食べたものは?」という趣旨の質問をしていました。

事件当日の出来事を奇麗に整理しようとした良い質問だと思います。

ただ,例えばですが,私は昨日の夕飯何を食べたかすら覚えておりません。

実は私,神奈川から出場した湘南白百合の尋問の練習に付き合ってくれと言われ,被告人役をやり,「ナポリタン食べました。」とか適当に答えましたけど,よく考えたら1年くらい前のご飯のメニューを覚えている方が不自然です。

むしろ本当に覚えていたら気持ち悪い。その人が毎日ナポリタン食べていたら話は別ですけど,私の経験上,一週間全く同じメニューを食べ続けると精神が崩壊する(修習時代に経験済み)ので,たぶんそんな人いません。

記憶が劣化していないという意味で事件当時のことを聞くことはありますが,あんまり詳細に聞いても覚えているわけがないので,実務ではこういう質問は事案に応じて端折ります。


② 質問に抑揚をつける。

全校を見た訳ではありませんが,どの高校もすごい毅然として,凛として,堂々とした態度で尋問していて素晴らしかったです。

ただ,怖かったです。

実際に,ものすごい高圧的に攻めまくる検事さんはいらっしゃるんですが(褒め言葉),私は民事,刑事関わらず,優しく聞く派です。

もちろん甘っちょろい尋問をすると,証人もなめてくるので,メリハリはつけます。

尋問の目的は,「如何にして事実を聞き出すか」にあると思うんですけど,特に敵性証人は,こちらの意図する事実を話さないよう,身構えるんですよね。

だから,敵性証人だからと言って全て「懲らしめてやる!」的に攻めるのではなく,誠意をもって質問をしていき,「あれ?ここおかしいな?」というところを徹底的に攻めるとより効果的です。

これは尋問に限ったテクニックではなく,例えば,

「あなた,いつもお仕事お疲れさま。」
「お?どうした今日は(笑)」
「ねぇあなた,今週末,2人で映画を見に行きましょうよ。」
「あぁ,ごめん,今週末は仕事なんだ。」
「えぇ?この間もそんなこと言っていたじゃない。」
「そうだっけ?ごめんね。プロジェクトがさ,きつきつなんだよ。」
「何のプロジェクト?」
「お前に言っても分からないよ(笑)」
「例の部下の◯◯さんと一緒のプロジェクト?この間もそう言っていたけど。」
「あぁ,そう,そうだよ。」
「本当にそうなの?」
「ん?なんで?」
「答えて。本当にそうなの?」
「うん。そうだよ。なんで?」
「◯◯さんの奥さん,今週末,◯◯さんと一緒に熱海の温泉に行くんだって。」
「え…。あぁ,今週末は◯◯欠席だったっけかな。」
「あなた,◯◯さんと一緒のプロジェクトは本当にあるのね?」
「あるよ。あるある。」
「◯◯さんは,プロジェクトがきつきつなのに上司であるあなたをおいて旅行に行くのね?」
「………。」
「ところであなた,今,この会話,ボイスレコーダーに録音してるのよ。」
「え?」
「私はそこまでしなくていいと思ったんだけど,あなたの行動が怪しいと思って相談した弁護士の先生がね,そうしてみたらって…。」
「は?弁護士!?」
渡部先生っていうの(電話番号:044-589-3366,メール:genw140307@gmail.com)。」
「え?なに?どういうこと?」
「あなた,しばらくお暇を頂きます。」

といったように,ごくごく日常的な夫婦の会話でも応用が可能です。

どんなに速いストレートを投げても,打者の目が慣れてしまえば打たれます。緩急をつけましょう。


③ 実際に反対尋問をするとものすごい嫌われる。

高校生の皆さん,大変毅然として反対尋問をしていたので,私は感心しました。

私が高校生だった頃には,到底あんな尋問はできなかったと思います。

ただ,敢えて苦言を呈するならば,「キーとなる箇所をもっとネチネチ聞き込むべき」だと思います。

反対尋問は主尋問の後に行われるため,時系列どおりに聞き込む必要はありません。

おかしなところを徹底的に追及すればいいのです。

私は過去何回も証人尋問をしていますが,ネチネチ聞き過ぎるので,間違いなく全員から嫌われています。

これは尋問に限った話ではなく,例えば,

「お,おい,お前。お暇ってどういうことだよ。」
「…。(淡々と荷造り)」
「あれだよ,違うプロジェクトと勘違いしちゃったんだよ。今週末はもう一つのプロジェクトだったんだよ。」
「…。」
「なぁ,機嫌直してくれよ。」
「△△さん。」
「は?」
「△△さん。」
「な,なんだよ。」
「△△さん。知ってる?」
「あ,あぁ。会社の後輩の女の子だよ。それがどうした?」
「仲良いの?」
「いや,全然。お前疑ってるのか?違うぞ。単なる会社の先輩後輩の仲だぞ。」
「携帯のメール,見させてもらったわ。」
「…!」
「あと,この会話ももちろん録音しているわ。そうした方がいいって,
        ↑が言っていたわ。」

で,とどめです。


結局,高校生模擬裁判選手権の話にならなかった。


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