2014年1月8日水曜日

今年こそ読みやすい文章を書こうと思ったけどダメだった。

よし,離婚協議書を書き過ぎた,一息つこう。弁護士の渡部です。

新年になりましたね。皆様今年も宜しくお願い申し上げます。

で,新年早々,私が勤務しております川崎において,検察庁から被疑者が逃亡するという事態が発生し,町も何やら騒がしいことになっております。

私は事件の概要を何も知らないので,全くコメントする立場にございませんが,一弁護士として,誰も怪我することなく,彼が公正な裁判を受けられる状態になることを切に願っております。


(この流れから川崎の逃亡事件に関する記事を期待している人は,そろそろ回れ右した方がいいです。いつもの奴を見たいというお暇な方だけどうぞ。)


私も川崎で仕事をしてもう6年だかなんだかになりますが,神奈川県警さんは本気を出していますね,こんなバタバタした川崎は初めてです。

今も上空にヘリが飛んでおります。基地付近にお住まいの方は「ヘリがどうした」かもしれませんが,ヘリ慣れしていないとそわそわしますね,これ。

マスコミの皆さんも大変ですね。「こちら現場です!被疑者はあちらの東京方面に逃走したものと思われ…(走りながら)」みたいなやつを生で初めて見ました。

あれ,練習しているんですね。法務局(検察庁と同じ建物)の行き帰りで同じ人が同じことやってました。何回も練習していました。「中継の◯◯さん!」と呼ばれたときに失敗しないように練習しているんですね。臨場感を出すためにたゆまぬ努力をされているのだなぁと思って見てました。

そう,今回の検察庁の建物って,下の階に法務局が入っている合同庁舎なんですよ。建物の入り口は一緒なので,テレビに映っているあの入り口は,日常的に法務局使う一般の人達も出入りするわけです。

で,今日あたりからすごい気になっていることがあるんですよ。誰も指摘しないんで,ひょっとしたらおれがなんか間違っているのかなとか思っているんですが,思い切って調べてみようと思いました。

まずはこちらをご覧下さい。



















今日の横浜地方検察庁川崎支部(法務局)の前の様子です。人の顔や車のナンバーにぼかしを入れております。

この時点で私がすごい気になっていることが分かった方はこの後の文章を読んで下さい。分からない方はこういう書き方するとなんかハードルが高くなっている気が自分でもしてきたので回れ右して下さい。

で,私が気になっている部分を拡大してみました。



















伝わらなかった人はこれ以上読んでも時間の無駄なので回れ右して下さい。

警視庁も,このマークのところは駐車しちゃいけませんよと言っています。
【違法駐車追放対策|警視庁】
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotu/chusya/cihan.htm

私がすごい気になっていることは,「警察もめちゃくちゃ出入りしている検察庁の目の前でなぜ違法駐車するんだ,怖くないのかあなた達は」ということです。

川崎に全く馴染みのない方に説明致しますと,この通りは官公庁や郵便局が立ち並び,川崎駅に向かう交通量の多い道路で,非常に高い確率で違反切符を切られる地元では有名な場所です。ここでは誰も神奈川県警にかなわないのです(管轄は川崎警察署。)。

なんでだろう,なんで捕まらないんだろうと思い,道交法ってどうなっているのかなと思ったんですけど,免許を取得してからまともに道交法を勉強した記憶がないので,記憶喚起のために調べてみました。

【ステップ①〜この場所は結局なんなのか〜】

(駐車を禁止する場所)
第四十五条  車両は、道路標識等により駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、駐車してはならない。ただし、公安委員会の定めるところにより警察署長の許可を受けたときは、この限りでない。
(中略)
  車両は、第四十七条第二項又は第三項の規定により駐車する場合に当該車両の右側の道路上に三・五メートル(道路標識等により距離が指定されているときは、その距離)以上の余地がないこととなる場所においては、駐車してはならない。ただし、貨物の積卸しを行なう場合で運転者がその車両を離れないとき、若しくは運転者がその車両を離れたが直ちに運転に従事することができる状態にあるとき、又は傷病者の救護のためやむを得ないときは、この限りでない。
  公安委員会が交通がひんぱんでないと認めて指定した区域においては、前項本文の規定は、適用しない。

第1項において,道路標識等により駐車が禁止されている道路の部分」に駐車をしてはいけない,ということが定められています。なお,ついでに言うと,道路標識を地面に突き刺す法的根拠は第4条(公安委員会の交通規制)です。

そうすると,この写真にある道路標識はどう考えても駐車禁止標識なので,神奈川県警が間違ってこの標識をアスファルトに突き刺していない限りは第1項適用事案になります。

第2項及び第3項は関係ありません。第3項が「適用しない。」としているのは「前項(第2項)本文」(共に下線部分)なので,第1項は第3項の影響も受けません。

じゃあこの写真に写っている車は駐車してんのかどうか,というのが次に問題になります。


【ステップ②〜この車なんなのか〜】


とりあえずこの写真の車のテールランプを見て下さい。赤く点灯していません。何なら車両前方に人もいます。車間距離も以上に狭いですね?そう,この車達は物理的に停止(以下「本件停止行為」という。)しています。

運転手さんは乗っているかどうかはここからでは分かりませんし,私も確認はしませんでした。

【ステップ③〜道交法はどうなっているのか〜】

さて,道交法上,車両が物理的に停止している状態は2つの場合が想定されています。「駐車」と「停車」です。

本件標識は「駐車禁止」なので,本件停止行為が「停車」に該当していれば,おまわりさんにごめんなさいしなくても済みます。駐車ならお金を納めることになります。では,駐車から見てみましょう。

(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(中略)
十八  駐車 車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で五分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。)、又は車両等が停止し、かつ、当該車両等の運転をする者(以下「運転者」という。)がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあることをいう。


非常にわかりにくいので分解しましょう。公用文の読み方の話を始めるとマニアックすぎるので省略しますが,この条文は前段と後段に別れます。

(A)車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で五分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。)

(B)車両等が停止し、かつ、当該車両等の運転をする者(以下「運転者」という。)がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあること

駐車には2つの種類があります。1つが(A)継続的停止,もう1つが(B)みなし駐車です。

(A)継続的停止
もう条文を読んでそのままの意味です。客待ち等の例示がなされていますが,「その他の理由」という抽象的概念でほぼ全ての目的が包括されるので,最終的には「継続的に停止するつもりがあったかどうか」にかかってきます。
ここでご注意頂きたいのが,継続的か否かは,単に時間の長短によるものではない,ということです。
【東京法令出版・執務資料道路交通法解説】によれば,「停止時間の長短,継続的停止の意志の存在によって,それが『継続的停止』に当たるかどうかを判断しなければならないと考える。」
つまり,「結果として5分未満の停止だったけど,社会通念上継続的に停め続ける気があったな貴様」と判断される場合には,停車ではなく駐車になります。

(B)みなし駐車
上記継続的停止に該当しなくても(継続的な停止の意志が立証できなくても),状況的にこれもう駐車だよね,という停止を駐車と看做(みな)す条項です。
これは「車両が停止していること」と「運転者がその車両等を離れて直ちに運転できない状態にあること」の2要件をクリアする必要があります。
例えば,駐車禁止区域でも,車を停め,ちょっと降りて一服してすぐ出発するつもりであるならばこのみなし駐車ではなく停車に当たります(その立証の難易はさておき)。
また,運転者が車を離れていなければこのみなし駐車には当たりません。
逆に言えば,「すぐに戻ってくるつもり(継続的停止の意志がない)だったけど,車からすごい離れたところまで行っていたから直ちに運転できる状態になかったよ」という場合は本号に該当します。


そろそろ飽きてきた読者を他所に,次は「停車」です。
(同条)
十九  停車 車両等が停止することで駐車以外のものをいう。

車が物理的に停止しているけど,上記(A)(B)どちらの駐車にも当たらない場合が停車になります。細かく言うと更に長くなりますので割愛します。


【ステップファイナル〜あてはめ〜】

まず車は停止しています。

停止の目的は,おそらく,「地検前でしばらく張り込んで取材したい」です。

「しばらく張り込んで取材」するために本件停止行為を行うということは,社会通念上どう考えても継続的に停止するに決まっていますし,ていうか何時間停めてんだこれ。

継続的に停止するということは道交法上の「駐車」行為に該当し,第45条1項により,駐車してはいけないということになります。ただし、公安委員会の定めるところにより警察署長の許可を受けたときは、この限りでないですが,そんな許可出したんですか署長!





なんか今回もよく分からないこと書いたんですけど,何が言いたいかって,別に法律をガチガチに当てはめて取り締まれとは言わないけど,ちょっとそろそろ邪魔なんだ,こっちもそこを仕事で使うんでな,ということです。


あと,各マスコミが逃走経路割り出し始めているんですが,その逃走経路には結構コインパーキングあるからそっちに停めてくれないかな,おれ車族でこの道すごい使うんだわ,ということです。



よし!なんかパトカーがサイレン鳴らしてるけど仕事するぞ☆









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