2014年2月20日木曜日

ロースクールの1期生がロースクールを語ってみる。

なんかよくわかんないけど,最近政治ネタを書いているせいか,いろんなところからいろんなお誘いを受けています。渡部です。


それ自体はすごい嬉しくて,できれば全ての方のご期待に添えたいんですけど,そもそもこの私,政治に非常に疎く(勉強中),まぁいわゆるノンポリみたいな人間なので,何かしらの政治的活動に協力しようにも,「よく理解できていないからお手伝い自体ができません状態」なので申し訳ない気持ちでいっぱいです。

逆に,線引きが難しいんですけど,私の文章(駄文)それ自体を評価して下さっている方からのお話はできる限りお手伝いしようと思っています。思っていること書くだけだからね。簡単だね。


さて。

今日,筆をとったのは,なんか最近「本当におれという人間を理解して誘っているのか」と疑問を持つ機会が多かったので,私自身の話を少し書こうと思いました。

といっても,私の半生書いても誰が得するんだみたいな話になるので,そうですね,ロースクールの話でもしましょうか。


【ロースクールとの出会い編】

私が司法試験を目指したのは大学3年生(21歳)の秋です。

ほら,その時期って,企業の合同就職説明会とかあるじゃないですか。

私,大学で全然勉強してなかったので(謙遜ではなく,ちょっと引くぐらいしていなかった。),普通にどっかの企業が拾ってくれないかなと思って説明会に行ってみたんですよ。

で,致命的なことに気がついたんですけど,企業の合同説明会って,すごい人ごみじゃないですか。

私,人ごみ嫌いなんですよね。


たまたま法学部だったこともあり,それだったら検察官になるべく司法試験を目指そう!と決意しました。


あのときの母親の冷めた目が今でも忘れられません。



なんとなく「自分はやれば出来る子」という自信だけはあったので,司法試験(いわゆる旧司法試験)を大学4年の春に受けました。


見事に落ちました(当然択一で。)。


そりゃそうだよね。2か月ぐらいしか勉強(しかも独学)してないもんね。

そんな折り,ちょうど私が大学を卒業するタイミングで,「ロースクール」という新制度が始まるという話を聞きました。

よく分からないけど(あんまり調べなかった。),大学院に行くことにより旧制度より合格しやすいということだけは分かりました。

両親に進学させてくれと土下座したところ,「やりたいことがあるのは幸せなことだ,やれ。」というありがたいお言葉。私が社会人になったときに渡そうと思って貯めていたお金があったようです。決して裕福な家庭ではないのに。ありがたい。


【受験編】

新しく始まる制度ということもあって,過去問もなにもありませんでした。

どうやらSPI試験みたいなの(法科大学院適性試験)で高い点数とると有利みたいな話を聞いたんですけど,私,そういうパズル的な問題がすごい得意だったので,そっちはあまり勉強せずに,法律の教科書とか初めて読んだりしてました。

私は明治大学に通っていたので,ロースクールも明治に進もうと思ったんですけど,やはり一本狙いは怖いので,とりあえず手当たり次第受けてみることにしました。


まず,明治大学は不合格になりました。

おい待て。ゼミの教授の推薦状までもらって受けたんだぞ。なんだ,そんなにおれのこと嫌いなのか。あれか,受験生控え室でみんな法律の本を読んでいたのにおれだけスポーツ新聞読んでいたのが原因か(関係ない。)。


そして,試験官と喧嘩した青山学院大学は合格しました(実話)。

試験官「君は検察志望のようだけど,検察官になれなかったらどうするの?」
私「弁護士になるんでしょうね。」
試験官「そうしたら,検察官を目指す志みたいなものは叶えられないね(圧迫面接)。」
私「刑事弁護いっぱいやります。」
試験官「刑事弁護だけで食べて行けると思うの?(笑)」
私「頑張ります。」
試験官「頑張ったって,どうにもならないことが分からないの?(敢えての圧迫面接)」
私「うるせえな,そうしたら女に食わせてもらってでも,なんでもやってやるよ。あんたに金の心配をしてもらわなくても,こっちは(以下自主規制。原文ママ。)

なんで合格したんだろう。青山の器はでかい。


最終的に,一番よく分からない試験を受けた早稲田大学に進学することになりました。

私の受けた問題がHPに掲載されていました。
http://www.waseda.jp/law-school/jp/news/pdf/04result/b.pdf
(2004年度早稲田大学大学院法務研究科入学者選抜試験第二次選考面接試験問題B)

たしか,私のときは,この問題用紙を渡されて,「20分くらい考えてみて」と言われてぼんやり考えて,時間が来たらこの問題用紙を取り上げられて,面接官とこの問題について議論をする,たしかそんな内容だったような気がします。

面接官との議論はたしか20〜30分程度で,私はたしか「どっちでもいいけどA君かわいそう」みたいなことを話したら,後日,「君,合格」という通知がきました。どうなってんだこの学校,と思いました。

こんなやり取りで何がわかるんだろう,早稲田は変わってるな,よし,早稲田に行こう!と授業料を振り込みました。

ここからが本当の地獄の始まりでした。


【ロースクール入学当初編】

よく,「先生若いのに弁護士なんて,たくさん勉強されたんでしょ?」と聞かれますが,謙遜ではなく,私はあまり勉強していません。

これは本当に謙遜ではなく,旧司法試験時代では受験歴が10年になるなんてザラな世界ですから,私の勉強期間,すなわちロースクール3年間なんて短いものです。

ただ,この3年間は本当に死ぬかと思いました。

まずはこちらをご覧下さい。
http://www.waseda.jp/law-school/jp/news/index040223.html
(〜2004年度入学者選抜試験 最終合格者の概要等〜)

出身大学で明治大学が1名だけなので,これたぶんぼくのことなんですけど,そんなのはどうでもよくて,「◆属性」という欄をご覧下さい。社会人枠から35.6%,大学院生・他(=旧司法試験の勉強をしてましたよ軍団)から27.2%の合格者が出ております。

ぼくは学部学生枠で,当時22歳でした。

想像してみて下さい。1クラス50人のうち,約6割にあたる30人が医者,公認会計士,国際連合,外国弁護士,民間企業,官公庁等々という異様な授業風景を。

そして約3割にあたる19人が高い志を持って新制度に飛び込んできた優秀な学部生で,活発に手を挙げている光景を。

残りの1人がぼくです。

まずカルチャーショックだったのが,「日本語が理解できない」ということです。

私は日本生まれの日本育ちで日本語ペラペラなんですけど,法律の世界特有の言い回しといいますか,用語の使い方といいますか,もうそれが日常的に飛び交っているです。

で,更によく分からないのが,ほら,授業って,「先生が生徒に教えるもの」じゃないですか。なんでか分からないんですけど,生徒が先生に議論吹っかけてるんですよね。あまつさえ議論で勝ってたりするんです。

もうね,授業中何が起こっているのか分からない。先生もそれが楽しいのか議論に乗っかり,それに他の生徒も乗っかり,そんで教授に議論で勝つとか,うん,誰かもうこいつらに法曹資格与えて追い出せよとか割と本気で思っていました。

しかも厄介なことに,その人達は努力を怠らない。自主ゼミとかがんがんやっとる。もともと差があるんだからもう少し手を抜いてくれないとぼくがそこに追いつけない。

そんななか,何とか基本書読みながら,泣きながら授業について行こうと思っていた矢先,忘れもしません,一年生憲法の前期試験が立ちふさがりました。

問題用紙は1枚だけ。たしか「別添の判例について述べよ」みたいな短い問題文でした。

そのときから薄々嫌な予感はしてたんですけど,約300ページの判例の写しが配られて「じゃあ今から3時間以内に書いてね,よーいスタート!」と言われました。

なんだこの出題は。およそ人のなせる所業じゃねぇ。

「よし。もう問題解かないで帰ろう。そして学校辞めよう。」と思ったんですけど,授業料がもったいないので試験だけは受けて帰りました。


【ロースクールサバイバル編】

学校に通ううち,私が出した結論は,「この3年間であの人達を追い越すのは無理だ」です。

よく考えて下さい。日本人なのに既に海外の弁護士資格を持っていたり,医師資格を持っていたり,若くしておれの親父より年収がある仕事していたのに志を持って法曹を目指す人達です。私から見たらただの変態にしか見えません。

そこで,勉強方法を変えました。

具体的には,それまで,一日の勉強量を「7割予習に費やして授業に臨み,3割復習にあてて確認する」というやり方でしたが,「予習は最低限だけして,復習にほぼ10割注ぎ込む」というやり方に変えました。

まず,授業は必ず一番後ろの席に座ります。前に座ると議論を吹っかけられる可能性があるということもありますが,一番の理由は「誰が発言したか」が一目で分かるようにするためです。

で,授業中何をするかというと,「ノートパソコンを開き,授業開始から授業終了までの全ての発言を速記官の如く漏れなく打ち込む」という荒技を始めました。

全て,です。教授が授業中に言ったジョーク,生徒の質問,全て一言一句漏らさず打ち込みました。

当然誤入力とかあるんですけど,それを授業中直していると間に合わなくなるんで,誤入力等は,授業後,図書館で記憶を頼りに入力し直します。

そうすることで,授業をもう一度頭の中で整理し直して,反復することで,授業の理解度を高めようと試みました。(録音機は甘えです。使いません。)

自主ゼミにも参加せず,全ての時間をそれに費やし,ひたすら1人で繰り返し繰り返し3年間行っていたので,ぼくはロースクールの人達からレアキャラとして扱われていると思います。


幸い,ヘビースモーカーだったこともあり,喫煙所仲間はいたので,外部の情報等はその人達から教えてもらいました。ぼくは一番年が下だったので,みんな可愛がってくれました。感謝しています。


単純に授業をひたすら反復するだけでは意味が無いので,意識したのは,「難しい法律の話を,頭の悪い自分が理解できる日本語に翻訳する」ことです。難しい言葉のままだと覚えられないじゃないですか。

授業(難しい言葉)
 ↓
復習(簡易な言葉に翻訳)
 ↓
試験(自分の理解した簡易な言葉を小難しい風に再び翻訳)

こんなイメージです。

たまに,「噛み砕いて説明すると」という前置きをした上で,私の説明や文章(意訳)を「分かりやすい」と褒めて下さる方がいるのは,たぶん3年間これをずっと繰り返したからだと思っています。

どれぐらい繰り返したかというと,司法試験の当日あるじゃないですか。そのとき,みんな,予備校の参考書とか教科書とかを直前まで読んでいるんですけど,ぼく,授業のノートをギリギリまで見直してましたからね。「早稲田で議論されなかったこと以外が出題されたら諦める」という姿勢でした。よく受かったな。



【まとめ】

まぁ,何が言いたいかというと,それぐらい早稲田のロースクールの3年間は,私にとって異質な時期ではあったものの,得るものが大きかったということです。

なんか聞くところによると,ロースクールも,定員割れが相次いだりしていて大変らしいじゃないですか。

願うことなら,私の知っているロースクールがこれからも存在していて欲しいと思います。

これは持論ですが,ロースクールの質を保つためには,社会人経験者をどれだけ入学させるか,だと思います。

あの方々がいなければ,私のようななんちゃって学部卒は司法試験に合格できなかったと思います。

ロースクールの停滞ぶりは様々な原因があると思いますし,関係各所でいろいろ議論されているし,ぼくはレアキャラなので関係ないんですけど,1つ言えることは,ロースクールも「商売」なんだから,社会人の人達が入りたいと思えるような「商品」を作らなければいけないと思います。

それは,「弁護士の供給過多」などの外部要因のせいにするのではなく,「商売人」として考えて行かなければならないと思います。



(今日の一言)

実は明治に対しても早稲田に対しても愛校心がなくてたまに怒られる。











にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村