2014年5月22日木曜日

福井地裁が丹誠込めて作った判決文です。

この体温計に間違いが無いのであれば,おれは寝ていなければならない。渡部です。

関節が痛いです。



そんな私のことはどうでもよくて,皆さんご存知だと思うんですけど,昨日,福井地裁がすごい判決を書きました。

【大飯原発 運転再開認めない判決 NHKニュース】
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140521/k10014612701000.html

「運転再開認めない判決」って一瞬日本語が理解できないんですけど,要するに「大飯原発を止めたままにしておけ。」ということです。

福島第一原発事故後に再稼働を認めないという初の判断だったので,原発賛成派,原発反対派の双方の皆さんがどちらも大興奮になっています(二つの意味で)。



ただ,見過ごしがちなのが,なぜ福井地裁がその結論を導きだしたのかということです。

その福井地裁の見事な(ブログ主は原発反対派)理論構成が書かれた判決全文(しかも現物のコピー)がこちら!

【5/21 関西電力大飯原発3,4号機運転差し止め訴訟 福井地裁判決謄本|原子力資料情報室(CNIC)】
http://www.cnic.jp/5851

非常に分かりやすい理論が,たったの86ページに収まっており,読みやすさ抜群です。

賛成派,反対派に関係なく,今後のエネルギー問題を考える上で重要な判断となっておりますので,是非読んで下さい。

ぼくが言いたいことは以上です。

お疲れさまでした。





待って!まだ他のページに飛ばないで!

知ってる。ぼく知ってる。

原子力に関する専門用語盛りだくさんな上に,法律業界特有の分かりづらい言い回し盛りだくさんのこの判決全文を,真っ正面から取り組む労力は半端ではないことは,実際判決文を読み始めた私が一番良く知っています。

でも大事な判決だから,(ブログ主が)大事だなと思うところを抜き出して,翻訳し,コメントうっておきます。気が向いたら見て下さい。

それでは,翻訳スタート!

注意①
何故か判決謄本のPDFからコピペができなかったので,「kom's blog」さんから全文のテキストを拝借しました。ありがとうございます。

注意②
判決文を引用しておりますが,くそ長い綿密な考察に基づいて膨大な量となっています。引用箇所だけでも大変な分量になりましたので,フォントを小さくしています。他意はありません。ブログの長さの問題です。

注意③
ブログ主の翻訳(=意訳)は,全て青文字となっておりあす。青文字はブログ主の見解だと思って下さい。鵜呑みにすると,動悸,息切れ,知ったかぶりによる失恋等の症状が出ることがありますのでご注意ください。


【前提となる考え方:判決文】
 個人の生命,身体,精神及び生活に関する利益は,各人の人格に本質的なものであって,その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利であり(1 3 条, 25 条) ,また人の生命を基礎とするものであるがゆえに,我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。したがって,この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは,その侵害の理由,根拠,侵害者の過失の有無や差止めによって受ける不利益の大きさを問うことなく,人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。人格権は各個人に由来するものであるが,その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する性質を有するとき,その差止めの要請が強く働くのは理の当然である。
【前提となる考え方:翻訳】
 人の命より重要なものって,あるの?


【福島原発事故について:判決文】
 福島原発事故においては,15 万人もの住民が避難生活を余儀なくされ,この避難の過程で少なくとも入院患者等60名がその命を失っている(甲1・15ないし16頁,37ないし38頁,357ないし358頁)。家族の離散という状況や劣悪な避難生活の中でこの人数を遥かに超える人が命を縮めたことは想像に難くない。さらに,原子力委員会委員長が福島第一原発から250キロメートル圏内に居住する住民に避難を勧告する可能性を検討したのであって ,チェルノブイリ事故の場合の住民の避難区域も同様の規模に及んでいる(甲31,32) 。
【福島原発事故について:翻訳】
 福島原発事故のことは忘れてないよね?


【原子力発電というエネルギー施策を止めてもいいのか:判決文】
 原子力発電所は,電気の生産という社会的には重要な機能を営むものではあるが,原子力の利用は平和目的に限られているから(原子力基本法 2 条),原子力発電所の稼動は法的には電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由(憲法 2 2条 1 項)に属するものであって, 憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきものである。しかるところ, 大きな自然災害や戦争以外で,この根源的な権利が極めて広汎に奪われるという事態を招く可能性があるのは原子力発電所の事故のほかは想定し難い。かような危険を抽象的にでもはらむ経済活動は,その存在自体が憲法上容認できないというのが極論にすぎるとしても,少なくともかような事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば,その差止めが認められるのは当然である。このことは,土地所有権に基づく妨害排除請求権や妨害予防請求権においてすら,侵害の事実や侵害の具体的危険性が認められれば, 侵害者の過失の有無や請求が認容されることによって受ける侵害者の不利益の大きさという侵害者側の事情を問うことなく請求が認められていることと対比しても明らかである。
【原子力発電というエネルギー施策を止めてのいいのか:翻訳】
 電気と命,どっちが大事だと思ってんの?


【冷却機能があるじゃないかという主張について:判決文】
 日本列島は太平洋プレート,オホーツクプレート,ユーラシアプレート及びフィリピンプレートの 4 つのプレートの境目に位置しており,全世界の地震の 1 割が狭い我が国の国土で発生するといわれている。 1991 年から 2010年までにおいてマグニチュード 4以上,深さ 100キロメートル以下の地震を世界地図に点描すると, 日本列島の形さえ覆い隠されてしまうほどであり,日本圏内に地震の空白地帯は存在しないことが認められる。(甲 18 ・ 7 56 , 778 ないし 779 頁,訴状 3 1 頁参照)。日本が地震大国といわれる由縁である。
 この地震大国日本において,基準地震動を超える地震大飯原発に到来しないというのは根拠のない楽観的見通しにしかすぎない上,基準地震動に満たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば,そこでの危険は,万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険と評価できる。このような施設のあり方は原子力発電所が有する前記の本質的な危険性についてあまりにも楽観的といわざるを得ない。
【冷却機能があるじゃないかという主張について:翻訳】
 地震大国日本のヤバさをなめるな。


【使用済み核燃料について:判決文】
 使用済み核燃料は本件原発の稼動によって日々生み出されていくものであるところ,使用済み核燃料を閉じ込めておくための堅固な設備を設けるためには膨大な費用を要するということに加え,国民の安全が何よりも優先されるべきであるとの見識に立つのではなく,深刻な事故はめったに起きないだろうという見通しのもとにかような対応が成り立っているといわざるを得ない。
【使用済み核燃料について:翻訳】
 金をかけて使用済み核燃料を処理してるにもかかわらず,それでも使用済み核燃料の安全性が担保できてないって,お前正気か。


【(原発再稼働)差し止めの必要性について:判決文】
 以上にみたように,国民の生存を基礎とする人格権を放射性物質の危険から守るという観点からみると,本件原発に係る安全技術及び設備は,万全ではないのではないかという疑いが残るというにとどまらず,むしろ,確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに初めて成り立ち得る脆弱なものであると認めぎるを得ない。
(中略)
 現在,新規制基準が策定され各地の原発で様々な施策が採られようとしているが,新規制基準には外部電源と主給水の双方について基準地震動に耐えられるまで強度を上げる,基準地震動を大幅に引き上げこれに合わせて設備の強度を高める工事を施工する,使用済み核燃料を堅固な施設で囲い込む等の措置は盛り込まれていない(別紙 4 参照)。したがって,被告の再稼動申請に基づき, 5 , 6に摘示した問題点が解消されることがないまま新規制基準の審査を通過し本件原発が稼動に至る可能性がある。こうした場合,本件原発の安全技術及び設備の脆弱性は継続することとなる。
【(原発再稼働)差し止めの必要性について:翻訳】
 福島原発事故後の新規制基準も,不十分なものとしか思えない。本気を出して新規制基準が作られていない。


【結論(主文):判決文】
1 被告は,別紙原告目録1記載の各原告に対する関係で,福井県大飯郡おおい町大島1字吉見1−1において,大飯発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない。
2 別紙原告目録2記載の各原告の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は,第2項の各原告について生じたものを同原告らの負担とし,その世を被告の負担とする。
【結論(主文):翻訳】
 なんでこれ動かそうという発想になるの,常識的に考えて。



(今日の一言)

集団的自衛権よりも先に,国内の弱点(原発)を考えた方がいい。


にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村