2014年11月25日火曜日

「あなたの票から開票されます」キャンペーン実施中

最近ニュースがギスギスしています。渡部です。


ギスギスしている原因は,主に選挙。

家に帰って夜のニュース観るのが唯一の趣味のぼくでもゲンナリしてしまいます。

なにせ,衆議院を解散させた人が,「(選挙を)どのタイミングでやるか,そのタイミングも含めて,これは選挙において判断していただきたい。」という哲学的過ぎて常人には理解しがたいことを言い出し,おそらく有史上初となる「なんで解散総選挙になったのか(解散させた人も含めて)誰も理解していない選挙」をやることになったため,各政党のネガティブ合戦,マスメディアの大混乱,ひいてはお茶の間の娯楽喪失につながっているとぼくは考えています。



◆衆議院を解散すること

ところで,過日,SNS上で,ぼくのお友達が,こんなような趣旨の発言をしていました。

(以下勝手に引用及び意訳)
「衆議院の解散って,480人の国会議員と,その人達についているその3倍の1440人の公設秘書と,それ以上いると思われる私設秘書を一気にリストラすることなんですよね。」

言い得て妙です。非常にわかりやすい。

平成26年3月31日時点における神奈川県内の弁護士総数は1430名(支部会員含む)なんですけど,ある日突然当会の会長がご乱心になられて,「うちの会員は全員もう一度司法試験受けるぞ!」とか言い出して,神奈川県から弁護士及び法律事務員が消える,そんな状態でしょうか。

たまったものではありません。その間に東京の弁護s(以下自主規制

話を戻すと,政治家の人もかわいそうです。ある日突然,自分がやりたかった消費税増税が出来なくなったので,強制的にできるように「民意を問う」というマジックワードが欲しくて駄々っ子のように解散されてしまった側の身にもなってください。家族が路頭に迷う方もいるかもしれません。

それにしても今回の選挙で乗り気の人は果たしているのだろうかとこの三連休で犬と散歩しながら考えていたんですけど,ふと思いました。


誰も選挙に行かなかったらどうなるんだろう…?


と,いうわけで,今日は公職選挙法をお勉強しましょう。



◆立候補をするためには

気になり出したら止まらないのがぼくの性格。ちょうどコンビニに肉まんを買いに行く用事があったので,ついでに公職選挙法の本を買ってきました(今)。

肉まんって美味しいですよね。たまにピザまんに浮気をしてしまうことがあるんですけど,やっぱり最後は肉まんに帰ってきてしまうんですよね。あ,ぼくはあんまん許せる派です。

ちなみに,ぼくは弁護士としてのキャリアが約6年になりますが,公職選挙法なんて一度も扱ったこともないし,司法試験にも出ませんでした。

ただ,ぼくもそのうち大物政治家の刑事弁護とかをするかもしれませんので,この本は決して無駄にはならないはず。そう言い聞かせて2000円払ってきました。

(なお,ぼくのお客様で政治に携わっている方はゼロ人です。今後その予定もありません。この本,経費で落としていいのか悩んでいます。)

さて。今回の選挙は衆議院の総選挙です。とりあえず該当箇所を斜め読みしてみました。なるほど。

皆様ご承知のとおり,衆議院は小選挙区と比例代表がございまして,買った本には細かな届け出方式とか書いてあって面白かったんですけど,正直,この辺りの細かな知識は池上彰さんの本とか読んだ方が絶対わかりやすいのでそちらをお勧めします。

特に面白かったのは「供託」制度です。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが,日本の選挙には「供託」という制度がありまして,候補者の届け出等をしたい人は,一定額の供託金を払わなければなりません。

その趣旨は,当選を争う意思のない候補者の乱立や売名目的のための立候補等を防止し,さらに選挙公営を有利にするために比例代表における安易な名簿候補者数の増加を防止するといった制度のようです。

簡単に言えば,「選挙に出る以上,それなりの覚悟(=金銭)を見せてもらおうか」というもののようです。

さらに,上記趣旨(覚悟を見せる)に鑑み,得票数が一定数以下の候補者は,供託金が没収されます。

その額は次のとおり(法93条,94条参照)。


  • 衆議院小選挙区選出議員  供託金:300万円
→有効投票総数10分の1に達しない場合には供託金没収。
  • 衆議院比例代表選出議員  供託金:600万円(ただし重複立候補者300万円)
→没収額=供託額−(300万円×重複立候補者中小選挙区当選者数+600万円×比例代表当選者数×2)



よくわかんないけど,自分に投票してもらった数があまりにも少なかったら,サラリーマンの年収ぐらいガッポリ持って行かれるぐらいに考えておいてください。



◆もし誰も投票しなかったら

まず大前提として,理論的に「投票者ゼロ」という事態は起こらないと思います。

なぜなら,上述の通り,候補者はサラリーマンの年収ぐらいの供託金積んで,かつ,その候補者の家族は自分たちが路頭に迷うかどうかの瀬戸際で,かつ,その公設乃至私設秘書たちは自分たちの仕事が無くなるかどうかの瀬戸際だからです。

だから身内票は獲得です。

小選挙区のみで出馬したとして,4人家族で,秘書5人ぐらいいて,その秘書の家族とかも含めれば,30票ぐらいは獲得です。やったね!

ところが,対立候補は,秘書が2人しかいなかったため,同じような家族構成でも,20票しか集まりませんでした。

30票>20票

やった!勝った!第3部完!(ジョジョオタ歓喜)



そんなわけあるか。



そうです。どこの選挙区から出馬したかは知りませんが,たった30人の支持で衆議院になれるわけがないのです。

公職選挙法を見てみましょう。

第九十五条  衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙においては、有効投票の最多数を得た者をもつて当選人とする。ただし、次の各号の区分による得票がなければならない。
  衆議院(小選挙区選出)議員の選挙
             有効投票の総数の六分の一以上の得票

そうです。公職選挙法も,さすがに,「有効投票の最多数を得た候補者であっても,それが全体の有効投票からみてあまりにも少数であるときは,これを当選人とすることは妥当ではない」と考えているのです。

先ほどの例を見てみましょう。

有効投票総数は30票+20票=50票です。

つまり,50÷6=8.333333…票という法定得票数を超えていなければいけないのです。具体的には小数点とかありえないので,9票です。

ここで先ほどの例を見てみましょう。

30票獲得しているということは,法定得票数の9票より多いでs




あれ?




これ,当選してるんじゃないか?




え,これ,ほんとに当選してるの?





仕事の合間にこれ(ブログ)書いてるんだけど,これ本当に当選してるの?(焦り)




あれ?条文なんども見たけど「投票権保持者総数」じゃなくて「有効投票の総数」になってるな,これあってるのか?(驚愕)




◆今日のまとめ

書いていてこんなに結論に自信が持てないブログも初めてです。

法定得票数の制度は,候補者が乱立して得票が割れたケース(例えば同一選挙区から30名出馬,29名が1万票を獲得,1名が1万1000票を獲得)を想定しているように読めます。

そうすると,現在の法制度では,こんな身内票のみで物事が動く国になっているのか日本は。本当か。嘘だと言ってくれ。


こんなに自信がないのにブログを更新しようと思った動機は,実は他にあります。

ぼくが調べた限りでは,さきほどの30票対20票で決着がつきます。

ただ,これはもちろん極端な例で,こんなに少ない投票率は通常ありえないかもしれません。

ぼくが言いたいのは,自分が投じた一票がどこに入るか,です。政党の話ではありません。

なんとなく,今の投票率の低さは,「自分が投票しても変わらない。」という意識が少なからずあると思います。

でもさ,30票対20票の状態で,例えばですけど,ぼくが家族動員して負けている側に票を投じたら,簡単にひっくり返るんですよね。

自分が投じた票が「最後にカウントされる」のであるならば,そのような意識を持って仕方ないと思うんですけど,逆に,自分が投じた票が,「候補者の身内票以外の最初にカウントされる」と考えたら,ワクワクしません?

理論的にはあり得る話じゃないですか。誰の票から開示されるかなんてわからないから。

自分が投じた票で,他人(候補者)が一喜一憂する様を見るフェスティバルを,無料で参加できる。

こんな楽しいお祭り,なかなか無いと思うんだけどなぁ。


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