2015年8月12日水曜日

手紙

【本日のスペック紹介】
(年齢秘密)
職業会社員。
小・中・高と神奈川県内の公立学校を優秀な成績で卒業する。
最近,「実は高校受験で模擬裁判選手権準優勝校の法政女子を受けようとしていた。」と告白。
しかし,家からそう遠くない公立高校の進学へと切り替えたため,その後永遠(仮)の伴侶となる「」と出会ってしまい,残念な人生を送っている真っ只中である。

(1981年生まれ。年齢秘密の妻と同学年。)
職業弁護士。
小学校では優秀な成績を修めるものの,何故遊びより学校を優先させなければならないか自問自答を続ける。
中学校頃から登校頻度が下がりだし,担任の教師がの出席日数の計算をすることが日課となる。
高校の頃には部活の時間以外学校に顔を出さなくなり,生徒を留年させるか否かを決する職員会議にノミネートされ始める。
同時期,の仲間をフル活用し,当時同級生だった圧倒的人海戦術を用いたストーキングを行い,口説き落とすことに成功。弁護士になるとほぼ同時期に婚姻届に判を押させる。




「ただいま。」
「おかえり。どうしたの。なんか難しそうな顔をして。」
「まずはこちらをご覧ください。」
「これは手紙ね。」
「そうです。」
「しかも女性からの手紙ね。」
「事務所に送られてきました。」
「嫌な予感しかしないわ。」
「とりあえず中を読んでみてください。」
「え?読んでいいの?」
「はい。貴女のことも書いてありますから。」
「まさか…!不倫相手からの手紙では…!」
「それじゃあぼくちょっとシャワー浴びてくるから。」

〜30代半ばのおっさんの貴重な入浴シーンをご想像ください〜

「お先にご無礼しました。」
「あなた!これ!◯◯ちゃんからのお礼の手紙じゃないの!」




【本日のスペック紹介2】
◯◯ちゃん
職業高校生。
の昔の教え子。
学生にも関わらず,卓越した理論構成能力を持っており,が大変褒めていたのをも聞いており,我が家では「◯◯ちゃん」で通じる。ものすごい純粋な心を持っており,断じてと恋仲にあるわけがなく,むしろたぶんは親御さんと歳が近い。





「良かったじゃない!あなた,すごい感謝されているわよ!」
「そうですね。」
「私がこんな手紙をもらったら泣いてしまうかもしれないわ!」
「そうかもしれないですね。」
「なんでそんなに冷静なのよ。」
「いや,嬉しいですよ。嬉しいけども。」
「なにが不満なのよ。」
「いや,不満はない。いいか,その興奮は一度置いて,その手紙を冷静にもう一度よく読んでみろ。」
「どういうこと?」
「まず,お前はこの手紙の書体を見て,『不倫相手からの手紙』だと思った。そうだな。」
「!!!」
「流石だ。気がついたか?」
「字が達筆すぎる!!」
「そうだ。その通りだ。相手はまだ高校生だ。」
「忘れていたわ。◯◯ちゃんはまだ高校生なのね。」
「まるでWordで行書体で書いたような読みやすさだ。これ,自筆なんだぜ。」
「私より綺麗だわ…。」
「おれより綺麗だ。」
「あなたの字は古代文字みたいだから比較対象にすらなり得ない。」
「そして冒頭をみろ。高校生が,『拝啓 猛暑が続いておりますが…』なんて書き出しするか?」
「しない。いや,できない。」
「見ろここを。『お返事』じゃなくて,『御返事』になってる。『御』なんてパソコンの世界しか出てこないと思っていたぜ,おれは。」
「そう言われてみると,この子,すごく頭の良い子ね。文章からにじみ出ているわ。」
「この手紙の読みやすさの秘密は他にもある。各ページの文末をみろ。」
「はっ!」
「そうだ。一文が次ページにまたがないように調節されている。」
「ほんとだ!」
「これを狙ってやっているのか天然でやっているのかはさておき,ものすごい気遣いだ。」
「道理で読みやすいと思った。」
「しかも誤字がない。おそらく何度も書き直したのだろう。」
「あなたは自分のブログの誤字ですら放置するのにね。」
「そうだな。」
「ところであなた。」
「なんだ。」
「シャワーから上がったんだからそろそろ服を着てくれないかしら。」



〜30代半ばのおっさんの貴重な着替えシーンをご想像ください〜




「『奥様にも宜しくお伝えください』とか,素敵だわ〜,◯◯ちゃん(上機嫌)」
「・・・・・・」
「そんなあなたはなんでさっきからテンション低いのよ。これだけ書いてくれたのよ。もっと喜びなさいよ。」
「よく考えてみろ。」
「なに?」
「おれが高校生の頃,これ(このレベル)が書けたと思うか?」
無理ね。私も無理だと思う。」
「おれは昔から,こういう大事なことを全く学ぼうとしなかった。」
「大丈夫。今もよ。
「そしてそんなおれは,この子たちに偉そうに講釈たれてしまった。
「それが?」
「正直ヘコんでいる。」
「wwwwwwwwww」
「おれはこの子の倍は生きているけど,この子の方がずっとしっかりしている。」
「wwwwwwwwww」
「おれはいったい,今までなにを考えて生きてきたんだ。」
「大丈夫。みんなそうよ。私だって,高校時代,部活帰りに今川焼き食べた思い出しかないわ。」
「おれはそんな今川焼き食ってる女のケツを追いかけていた。」
「なるほど。◯◯ちゃんのお礼の手紙がしっかりし過ぎていて,逆に自己を省みているわけね。」
「私は貝になりたい。」
「大丈夫よ。あなたはずっとサッカーをやっていて,私とは違って,体育会系の礼儀みたいなのをしっかり学んでいるじゃない。」
「上を敬い…下の面倒をみる…体育会系の心…」
「そうよ!思い出して!いつもの面倒くさいモードに入る前に自分を思い出して!」
「高校のときにね,気に入らない先輩がいてね,その先輩を思いっきり(以下略」
「その話は初めて聞いたわ。」
「可愛がってた後輩がいてね,スコアが動いたときに興奮してその後輩の頭を(以下略」
「その手の話にことを欠かないわねあなたは。」
「もう法教育とか,偉そうにするお仕事から撤退しよう(真顔)」
「でも好きでしょあなた,人に教えることが。好きなことをやって感謝されているんだからいいじゃない。」
「もうダメだ。弁護士を辞めるしかない。」
「毎月言ってるわよね,それ。」
「もっとしっかりとした人間になりたい。」
「無理よ。」
「!!!」
「私は人生の半分ぐらいあなたを見ているのよ。あなたがしっかりした人間になれるのなら,とっくになっているわ。」
「!!!!!!」
「だいたいあなたはね,物事を,大切か否かで決めるのではなくて,『面白いか面白くないか』で決める時点でダメなのよ。芸人さんはそれで人を楽しませてお金をもらっているからいいの。でもあなたは芸人ではないわ。予備知識なしで司法試験受けるとか,なんで人生の分岐点で体を張ろうとするのよ。周りから見ている人たちは喜んでくれているけど,もっとあなたの側にいる人たちがどれだけ振り回されてきたか。だいたいただでさえ天然パーマなんだから,もっとしっかり髪をセットしないと,周りの人からどう見られてるかわかってるの?独立前はまだ事務員の皆さんがいたから良かったわ。独立した途端やりたい放題じゃない。いい?もっとしっかりとした・・・



(今日のおまけ)

おれはおれだから,こうしてネタにしてしまったけど,本当に手紙嬉しかったよ。ありがとう。

今までいろんな人から手紙をもらったけど,弁護士をやってて良かったと,少し思えた。

昔,有名な人がこんなことを言っていた。

「人は幼い頃,全てを知っている。」
「人は大人になると,全てを忘れる。」
「人は老人になると,全てを思い出す。」

確かこんな言葉だった。

どういう意味なのかはよく調べていないけど,おれは,「人間は,大人になると小さいときに知っていた大切なことを忘れてしまい,歳をとって死が近づくと,その大切なことを全て思い出す生き物である。」と理解している。

忘れないように,忘れないように,少しずつ歩いているつもりでも,君たちみたいな子に出会うと,はっとするときがあるんだよね。

正直なところ,法教育をやっていると,こっちが学ぶことの方が多いんだ。

だから君たちが知っている弁護士は,皆,生き生きしているでしょう?

みんな,好きでやっているんだ。

好きなことを仕事にすることは本当に難しいことだけど。

仕事を好きになることは,こういうふとしたきっかけで得られるものなんだ。

だから,ありがとうございました。

またね。


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